日本語の源流をたどる   今井欣一
『地名』を基本に据えて、それぞれの地名の意味を解き明かすことをテーマにし、様々な角度から日本語の源流をたどるページです。
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日本語最古の文献資料は、『古事記』『日本書紀』『風土記』など、奈良時代初頭に編纂された書籍です。これ以前のまとまった資料はない、と考えるのが普通ですが、いま私たちが毎日つかっている、『地名』にそれが残されている可能性があります。

このホームページは、国土地理院刊行の地形図にのる「山、川、峠、岬、島」などを、それぞれ群として捉え、各地名群の特性を比較対照して、地名の意味、命名年代の推定を行ないます。こうして分析すると、「島>岬>峠」の命名順位をはじめ、現存する地名に縄文~弥生時代に命名されたものが大量に残されている姿が浮上します。この地名資料をもとに、いまは知られていない倭語(縄文~弥生時代の言語)の基本様式をさぐることが、『日本語の源流/地名考古学』の主題です。

 

『地名』には、これまで数多くの方々が研究に携わり、数々の成果が発表されてきました。しかし我が国に『地名学』という学問はなく、大学にもこの分野の講座はないと聞きます〈『地名学』:ウィキペディア〉。そのため、地名研究はアマチュアの領域とされ、研究の基本様式、そのデータベースも整備されていないのが実情です。約40年前に「地名研究」を志した者の悩みもここにあり、全国の5万分の1地形図を集めて地名資料を創ろう、と決意を固めるのに数年の日時を要しました。実際に「山、川、峠、岬、島」などの地名群を集計すると、想像以上に個別の特性がはっきり浮上し、命名年代も「地球科学、考古学、文献史学、言語学」の成果を参照して、おおよその推測が可能になりました。

この集計データが、次章「作品一覧」にあげる第九巻~十二巻の『地名資料』です。第一巻『縄文・弥生の地名』、第二巻『地名考古学』,第三巻『倭語の法則』、第四巻『温故知新・川名の起源』は、この地名資料を分析してまとめたものです。「地名の意味と創作方法、その命名年代、縄文地名と弥生地名の差異、倭語独特の音律、縄文人の思考法」などを基本に置いて記しました。地名の創作法とその意味は奈良時代以前に失われていた可能性が高く、誰も手掛けたことのないテーマですので、『地名資料』をもとに様々な仮説を提起し、それらを証明して定理にする論文風に仕上げています。この四巻は数値データが多く、硬すぎるきらいがあります。これに比べ、第五巻『地名の解き方』、第六巻『律令時代の日本』、第七・八巻『国名と県名(未発表)』は、地名の基本法則を気楽に活用した応用編ですので、こちらから入っていただく方が、地名研究がどんな意義をもつかを理解しやすいと思います。

地名は言葉の一部です。もし縄文時代前期(約6,000~5,000年前;三内丸山遺跡の時代)の地名が現代に生きていることが立証できたなら、世界史の中での『倭語→和語→日本語』の評価は一変するでしょう。「黄河、長江、インダス、メソポタミア、エジプト」など、古代文明と同じ時代の言語遺産が現存する可能性は高く、これを解明できるのは、気候風土に密着した歴史・文化を体感した日本人にかぎられます。全体像を把握しやすい地名の性質を理解し、あらためて『地名学』の確立をはかる必要があります。微力ながらこの一助になれば、と願うのが私の心境です。

 

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